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§3 MemCalc解析
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§§3−3 セグメント解析(その1)
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問 セグメント解析とはどのようなものですか? |
1130 |
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答 図1130にセグメント解析の概念図を示します.セグメント解析は,大きな時間スケールの時系列全体を任意の数の部分時系列(セグメント)に分割し,その部分時系列に内在する,元の時系列全体から見れば,小さい時間スケールの変動構造をPSDとして求め,そのPSDを時間の経過の順に並べた3次元(3D)スペクトル・アレイに再構成することです.こうした処理を,MemCalcでは,任意時間領域を切り出して解析する機能を自動化することによって実現しています.この結果,時々刻々と変動する構造(“瞬間”の周期構造)の時間的推移を見事にとらえることができます.
図1130 セグメント解析の概念図.
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問 セグメントの長さ,そして各セグメントの間隔はどのように決めるのですか?恣意性は問題になりますか? |
1140 |
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答 セグメントの選定は,サンプリング間隔やデータ長との関係で解析上の技術的制約を受けますが,結論的には,対象時系列の変動構造の中でどのくらいの周期の変動を浮き彫りにしたいかでセグメントは決まると言って良いです.これは一見,恣意性の強いことのように受け取られがちですが,むしろ多重な周期構造を本質とする時系列の本性に則した解析法と言えます.
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問 セグメント解析を行う目的とはなんですか?また,具体的にどのような時系列に有用ですか. |
1150 |
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答 セグメント解析は,時々刻々と変動する構造(“瞬間”の周期構造)の時間的推移を見事にとらえることができます.一般に,多くの生物学的な現象は非定常で非線形であり,ある状態から他の状態へ複雑な方法で遷移します.このような様相を含む時系列の場合,一括して扱うよりもむしろ,セグメント時系列解析によって,より短いデータ長のセグメント時系列を扱うことが望ましいと考えられます.
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問 セグメント解析の結果の例を見せてください. |
1160 |
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答 図1160は,健常者と3人の疾患患者の血圧脈圧波の3Dスペクトル・アレイを示します.上から順に,case-1(健常者),case-2(PAF),case-3(PAF with SVPC),case-4(MCI with Af)です.個々の3Dスペクトルアレイでは,周波数が横軸に,時間がそれと垂直な軸にとられています.右側の図は,左側の図の正面図を示します.case-4
を除き,f
1,f
2,f
3,f
4
の明瞭なアレイが,それぞれ,約
1.2,2.4,3.6,4.8Hzに観測されます.以下に,3Dスペクトルアレイの全体的な特性を記述します.
Case-1(健常者,図1160(a))では,スペクトルピークの周波数は,かなりランダムな様子でゆらいでいます.これは,カオス的であると考えられ,健常者の心機能の柔軟性を反映しています.
Case-2(PAF,図1160(b))では,スペクトルピークの周波数のゆらぎが全く小さくなります.そのPSDは
case-1 のPSDよりも速く減衰し,第4高調波はかすかにしか見えません.
Case-3(PAF with SVPC,図1160(c))の最も注目すべき点は,新しいスペクトルアレイが,基本モードよりも低い周波数領域に現れることです.この新しいスペクトルアレイは,時間領域
10〜25,32〜70,85〜105,118〜150秒にSVPCの間欠的な発生に起因しています.もっと重要なことは,不整脈は不規則であると考えられていますが,この不整脈のスペクトルアレイが,規則的な振動をもち,その周波数が基本モードの周波数とは違っていることでです.
Case-4(MCI with Af,図1160(d))では,図に見られるように,スペクトルピークのはっきりしたアレイは観測されません.これは,他の3つの場合と区別される,MCI
with Af
の顕著な特徴です.
図1160 セグメント時系列解析から得られた3Dスペクトルアレイ.(a)Case-1:健常者,(b)Case-2:PAF,(c)Case-3:PAF with SVPC,(d)Case-4:MCI
with Af.
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